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  • 10/02/14:20

09.25.01:31

鹿児島県の学力向上対策(甲南高校編その4)    

取り組みの関連性を意識して内容や順序を改める

ディベートさえ行えば、生徒のコミュニケーション力が高まるわけではない。かつては、ディベートで活発に意見を戦わせる生徒たちなのに生徒集会では消極的すぎて、教師がギャップを感じることも多かったという。その原因を「ディベートはディベート、生徒会活動は生徒会活動と、取り組みを主導する教師が切り分けて考えていたから」と、黒木先生は分析する。

 「一つひとつの取り組みはしっかりできているけれども効果が出ないのは、取り組みの連関性が弱かったからだと思います。KIプロジェクトでも、それぞれの取り組みが相互に関連付けられたり、ほかの学校行事や授業に波及したりした時、あるいは1~3年次の連続性が保たれたときに、特に効果が表れていると感じます。3年間でどのような生徒を育てるのか、学年団がきちんと目線を合わせ、個々の取り組みを単発で終わらせないよう工夫することが、進路指導を成功させる最大のポイントだと実感しています」

 例えば、09年度の1年生では、「先輩に学ぶ私たちの進路セミナー」に先立ち、ディベートで「OB・OGを訪問するのは是か非か」というテーマの論戦を行い、職場訪問について考えさせた。朝礼やLHR、学年会などで生徒に語り掛ける場面でも工夫している。

 見えない自立の芽を育てようと、教師が常に意識することが大切です。例えば、教師が生徒集団に語り掛ける時も、『みんな』にではなく『君』に話しているのだと伝えますみんなに話してしまうと、生徒はひとごとのように聞いてしまいますが、一人ひとりに語り掛けることによって、生徒は教師の話を自分のこととして受け止め、議題に対する自分自身の意見を持つようになります。集団における自分の立ち位置や役割を考えるきっかけとなり、自立にもつながっていくのではないでしょうか」(福永先生)

 KIプロジェクトが一定の成果を収めた今、同校では原点に立ち返り、授業の質を見直そうという機運が高まっている。その理由の1つに、教科の魅力を高めることで幅広い学部・学科に興味・関心を広げられるのではないかということがある。もう1つには、KIプロジェクトによって醸成された高い進路志望を実現するには、質の高い授業で学力を引き上げる必要があるということだ。生徒の志望に見合った学力を付けなければ、KIプロジェクト自体は単なる理想で終わってしまう。

 KIプロジェクトの個々の活動で芽生えた自立の芽を、授業で更に伸ばしていく――。そうした取り組み相互の連関性を高め、教師自身が取り組み全体をコーディネートする力が、今後一層問われることになりそうだ。
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09.24.00:09

鹿児島県の学力向上対策(甲南高校編その3)  

ディベートで組織の中の自分の役割に気づかされる

生徒のコミュニケーション能力の低下を感じて、改善した点もある。
 09年度は、例年1年次の秋から行っていたディベートを、入学直後から始めた。まず、ディベート前に、生徒が具体的なイメージを描けるように、前年の3年生のディベートの様子をビデオで見せ、その上で実際に現3年生が行うディベートを見せた。その結果、1年生でも、わずか2回のディベートで例年3学期に行っていたレベルの論戦が展開できるまでに上達したという。

 ディベートは論理的思考力や表現力を鍛える絶好の場だが、それ以上に同校が重視するのは、生徒一人ひとりが自らの役割を自覚し、チームの中で何をすべきかを主体的に考えられるようにすることだ。その意味で、ディベートは生徒を自立に導くきっかけと位置付けている。鞍掛巳千治(くらかけみちはる)校長は、次のように説明する。

 「社会のリーダーとして活躍する人材を育成することが本校の教育目標です。しかし、本当のリーダーとなるためには、自分自身のことだけではなく、周りの人たち、自分が属する組織、社会や国のために役立ちたいと願う奉仕の精神が必要ではないでしょうか。先生に言われなくても、きれいな環境にしようと率先して教室やトイレの掃除をする、駐輪場では他の人の邪魔にならないように自分の自転車を端に寄せる、ということも立派な奉仕の精神ですディベートなどの取り組みを通じて、自分も周りの人も幸せになれる社会にしたいと考えられる生徒を育てることが、我々の仕事です」

 総合学習を統括する上ノ町(うえのまち)友紀先生は、ディベートの成果を次のように話す。
 「教師からの投げ掛けに、単語だけでなく、主語・述語を添えて返答する生徒が増えました。ディベートを繰り返すことによって、大人らしいコミュニケーションや会話に徐々に近づいていることを感じます」
 行事や部活動などに取り組む姿勢にも、ディベートの効果を感じることは多いという。

 「ディベートでは、生徒自身が授業を動かします。そうした経験を積むことによって、行事や生徒会活動などでも、生徒は自分たちで主体的に動くようになります。ディベートを通して、組織の中での自分の役割を、具体的にイメージできるようになるのではないでしょうか。これらの生徒の変化を見ると、高1の1学期という早い時期からディベートを行ったのは、効果的だったと思います」(上ノ町先生)

09.23.06:23

鹿児島県の学力向上対策(甲南高校編その2)

1年次の実施内容を見直し硬直化した進路感を広げる

学校改革の切り札として導入したKIプロジェクトだが、8年が経過し、効果が上がりにくい場面が見られるようになった。
 「今の生徒は、素直でまじめな半面、柔軟性がなくなっていると感じます。高校入学時点で『絶対に薬学部に進む』などと決めてしまい、頑として志望を変えようとしない生徒も少なくありません。小・中学校で受けてきたキャリア教育の成果もありますが、一方で、将来の志望が硬直化し、思い込んだら突き進んでしまう生徒が増えているのも事実です。さまざまな角度から学問や社会を見て、生徒自身が迷いながら、進路を絞り込むための指導の必要性を感じています」(黒木先生)

 KIプロジェクトには、生徒の視野を広げる工夫が随所にある。例えば、2年次の「KIグループ」による課題研究では、志望する学問分野ごとに、クラス横断でグループを編成し学問について探究する。1学年主任の福永幸成(こうせい)先生は、その効果を次のように感じている。

 「同じ学問を追究しても、生徒の興味・関心の違いや情報源によって、別の視点や情報が得られることもあります。さまざまな価値観を持つ友だちと共同作業を進めることによって新しい発見をしたり、視野を広げたりできます。こうした活動を今まで以上に深化させる必要があります」

 1年次の夏休みに卒業生の職場を訪問する「先輩に学ぶ私たちの進路セミナー」も、視野を広げ、深く考えさせるという観点から見直した。この活動は、毎年、約50人の卒業生の協力を得て、生徒が興味ある職業に従事している卒業生に自らアポイントメントを取り、職場を訪問する進路学習だ。職業に対する期待感や進路意識を高めるのが狙いだ。しかし、職場数に限りがあるため、生徒の希望通りにならずに「自分が行きたい職場ではなく、別の所に行かされた」と、かえって意欲が低下してしまう生徒が見られた。

 これではそもそもの狙いは達成できないと考え、09年度は、仕事内容ではなく、先輩がどのように仕事にやりがいを見いだしているのか、社会に貢献しているのかといった、先輩の「生き方」を聞く活動に変更した。
 「これしかないと道を決めてしまったら、もしその道を断たれた時に、自分の人生は何だったのかと、自分自身を否定的にとらえてしまうことになりかねません。たとえうまくいかなくても、それを正面から受け止め肯定できる力、挫折してもはい上がる力は、自立には欠かせない要素です職種の知識を得るためではなく、先輩の生の姿からプライドややりがいを持って働くことの素晴らしさを学び取ってほしいと思います」(福永先生)

09.22.07:13

鹿児島県の学力向上対策

前回まで、鹿児島県公立高校の学力向上対策の各高校の取り組み状況や効果について掲載してきました。
学力向上推進校13校のうちホームページなどの国公立大学合格実績により分析可能な5校について分析してきましたが、それぞれの高校で効果が出ていることがわかりました。

このほか、高校での取り組み状況について掲載されているサイトを見つけましたので紹介します。
ベネッセのサイトで、情報誌「VIEW21」の中で鹿児島県の高校が紹介されていますので、掲載します。

平成21年9月号
特集 「自立心」を育てる進路学習

(甲南高校)

「KIプロジェクト」を核に
取り組みの連関を見直し自立の芽を育てる

真の自立は、集団の中で自分が何をすべきか考えられること--。
「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)で「KIプロジェクト」を
推進してきた鹿児島県立甲南高校の取り組みを紹介する。

生徒にはビタミン剤 教師には接着剤のプロジェクト
 
 
 
 鹿児島県立甲南高校が、総合学習で「KI(ケイアイ)プロジェクト(Konan Innovation Project)」を始めたのは、現行の学習指導要領が施行される2年前の2001年度のことだった。同校は、1980年代後半には、毎年400人前後の国公立大合格者を出していた。しかし、少子化による学級数・生徒数の減少に加え、私立の中高一貫校の台頭などにより、進学実績も苦戦が続くようになった。

 その復活の起爆剤として企図したのが、KIプロジェクトだった。学習指導要領改訂に合わせて策定したSI(スクール・アイデンティティ)「地球規模でものを考えるリーダーの育成」を達成するために、「人間理解の深い生徒」「課題意識のある生徒」「自己表現できる生徒」を育てる進路学習である。

 1年次は、「テーマ学習」「ディベート演習」「小論文コンクール」により、環境・福祉・少子化などのさまざまな社会問題について考察。2年次は、各自が希望する学部・学科別の「KIグループ」をクラス横断で組織し、5、6人のグループによる学問研究、個人研究を進める。3年次は、これまで各自が探究してきたテーマを論文(マスターピース)にまとめ、プレゼンテーションを行う。

 これらの取り
組みにより、学校の状況は大きく変わった。KIプロジェクトが始まる前の数年間に現役合格者がなかった東京大・京都大の合格者が復活して進路実績が上向くと共に、09年3年生4月の進路志望調査では、5年前と比べて東京大志望者が1人から9人に、京都大志望者は1人から15人へと、飛躍的に増えた。「とりあえず地元の大学へ」と言っていた生徒が、明確な志望を持って大学を選ぶようになったのだ。
 
進路指導主任の黒木誠先生は、KIプロジェクトの位置付けを次のように話す。
 「KIプロジェクトは、生徒にとってはビタミン剤、教師にとっては接着剤の役割を果たしていると思います。学校の主食はあくまで授業ですが、進路学習によって生徒はほどよい栄養を摂取できます。教師にとっては、90年代後半の苦しい時期の後に、試行錯誤しながらも職員団が取り組みを成功させようと努力することで学校内の連帯感を高められました」

09.21.06:46

加治木高校の国公立合格実績

加治木高校の国公立大学合格実績を掲載します。

学力向上対策前の平成15年3月から17年3月の3ヶ年の卒業生は、現役合格率41.7%~45.6%、過年度卒業生を含む合格率は49.2%~54.4%となっています。

学力向上対策が実施された平成18年3月卒業生以降の合格率は、若干高まっていますが、平成18年3月卒業生は九大に21人合格し、それ以降は各旧帝大で合格者を出しており、平成21年度には、大阪大4人など北海道を除く六旧帝大に合格者を出しています。

加治木高校においては、難関国立大学へのチャレンジ精神が育成され、学力の質的向上が進んでいることがわかり、学力向上対策の効果があることがわかります。


加治木高校の国公立大学合格実績
           (  )は現役合格者数  【  】は過年度卒 *は14年度在学生数による
卒業年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 平成21年
クラス数 9 9 8 8 8 8 8
卒業生数 ※366 ※369   ※327     302  313
国立大学              
   鹿児島大 68 74    71   83 78 61 77
   九州大 11  4  12  21 14   8  14
   広島大        6  4     5    8  4   10    3
   熊本大   9  16      13      15 17 17  10
   宮崎大   2  10    12       8  15    7     7  
  東北大    1  -  -   1
  名古屋大     1     -   1   1
  京都大      1      -    1
   大阪大         1   4
  一橋大  2            
   東工大      -   -   1
  東京大        -  2   1
  神戸大  2                  -   1  1   1
  その他   30    35    35  36 38  17  36
小計
140
 
 146
(113)
【33】
 148
(123)
【25】
 172
(151)
【21】
168
(149)
【19】
133
(112)
【21】
157
(129)
【28】
               
               
               
公立大学               
    都留文科大               -     2    -
    山口県立大             2   -    - 
   下関市立大           -   2   4
  北九州市立大  5  17     6   9   7
   その他         23 17 16
小計    全合格者数
      現役
      過年度卒
40
 
 51
(41)
【10】
30
(26) 
【 4】
33
(33) 
【0】
31
(28)
【3】
30
(27)
【3】
27
(25)
【2】
               
合計  全合格者数
      現役
      過年度卒
180
 
 
197
(154) 
【43】
178 
(149)
【29】
 205
(184)
【21】
199
(177)
【22】
163
(139)
【24】
184
(154)
【30】
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役)の割合
  *41.7%    *45.6%    %     %   46.0%   49.2%
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役・浪人含む)の割合
 *49.2% *53.4%   *54.4%      %      %     54.0%  58.8%
対策実施       県立高校学力向上
推進総合プラン
 県立高校
学力向上
推進プロジェクト

09.20.05:27

大島高校の大学合格実績

大島高校の国公立大学の合格実績を掲載します。

国公立大学合格実績は、平成17年3月卒業生数は59人(浪人含み)で、学力向上対策の初年度となる平成18年3月卒業生は59人と変わっていません。

しかし、学力向上対策の2ヶ年目の平成19年3月卒業生は、103人(浪人含み)と倍増しました。
また、3ヶ年目の平成20年3月卒業生は、91人と減少しましたが、これはクラス数が8クラスから1クラス減少し7クラスとなったことも影響しているものと考えられます。

平成21年3月卒業生では、若干増加し、95人(浪人含み)が合格し、そのうち現役合格者数は87人となっています。

このように、学力向上対策の前後で、国公立大学合格実績に大きな変化が出ており、効果が大きいことがわかります。
卒業生数に対する国公立大学合格者数の割合をみると、学力向上対策の前年の平成17年3月卒業生18.1%に対して平成20年34.9%、平成21年度37.5%と約2倍の割合となっています。

離島という環境のハンディに対して、モチベーションややる気の向上、入試情報などきめ細かな対応が図られているものと推察されます。


大島高校の国公立大学合格実績   (  )は過年度卒業生       【  】は平成14年度の高1・2在学整数
卒業年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
クラス数 9 8 8 8 7 7
卒業生数 【356】   【323】      261 253
国立大学            
   鹿児島大   11 6 15 7 11
   九州大   1 2 3 2  
   広島大   1  2   1   3  1
   熊本大     3    1  4 1 8
   宮崎大    1 3 2   6  
   大阪大    1 1
   東工大   1  
  東京大   1 1  -
             
公立大学             
    都留文科大      4    3  3
    山口県立大       3  3
             
その他    37  44   67 69 61
             
合計   59 59 103 91 95(8)
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役)の割合
           %         %     %       % 34.4%
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役・浪人含む)
の割合
    ※18.2%         %      %   34.9%  37.5%
対策実施     県立高校学力向上推進総合プラン 県立高校学力向上
推進プロジェクト
※は、平成14年度高1在学数に対する割合

09.19.03:27

川内高校の大学合格実績

川内高校の大学合格実績について掲載します。

川内高校の卒業生のクラス編成は、昭和51年~53年の11クラスをピークとして増減を繰り返して、現在8クラスとなっています。

H10年3月卒業生は、前年の9クラスから1クラス増の10クラスとなり、これに伴い国公立大学の合格者数も120人台から150人台に増加した後、140人台に減少しています。

H16年3月卒業生は、1クラス減の9クラスとなったものの、国公立大学の合格者数は166人(3月時点)と増加しており、そのうち浪人生が22人と多くなっています。
学力向上推進総合プランが実施される直前のH17年3月卒業生は、128人(3月時点)と大幅に減少し、現役合格率は35%程度までに落ち込んでいます。

学力向上推進総合プラン1年目の18年3月生は、前年と同程度の合格者数129人で現役合格率も36%と低迷しているようにみえますが、東大、九大をはじめ6旧帝大を受験するなどチャレンジ精神が出た年で九大に現役で10人合格するなど学校側は評価しています。

プラン2年目の19年3月生は、1クラス減少したものの近年最多の169人となり、現役合格率も49.5%まで達し、東大に浪人生が合格し、東北大に現役で2人合格するなど質的な向上も図られています。また、浪人生も前年の6人から2倍の12人に増加しており、チャレンジ精神が継続しているものと想定されます。

平成20年、平成21年の合格者数は、減少傾向にあるように見えますが、学力向上対策実施の直前の現役合格率等と比較すると以前として高い水準を確保しています。

このほか、クラスが減少した年が合格者数が増加する傾向もあり、このことは定員減に伴い学力の質の均衡が図られるとともに、前年の浪人生の割合が高くなることなども影響している可能性もあります。


川内高校国公立大学合格実績                                            平成16年、17年は3月下旬時点
年卒 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21
クラス数 9 9 9 10 10 10 10 10 10 9 9 9 8 8 8
合格者数 129 128 121 155 152 150 144 144 146 ※166 ※128 129 169 154 141


川内高校の国公立大学合格実績   (  )は過年度卒業生  ※は各年度3月下旬時点(最終結果ではない)
卒業年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
卒業生数  343  344 342  317 314 295
国立大学            
   鹿児島大 55(12)  44(3) 33(1) 41(4) 49(3) 35(5)
   九州大 4(1)  5 10 6(1) 5(1) 4
   広島大 8(1)  3 6(2)  2
   熊本大  8  11(2)  16(1)  13(3)
   宮崎大 10 20   9(1)  17(1) 8  4 
    京都大  - 1 1
    大阪大   -  1(1) 1 1(1)
    東北大  - 2  - 
    一橋大  -  1(1)  -
  東京大  - 1(1)  -
             
公立大学             
    都留文科大   2   1 2 4(1)  - 
    下関市立大   2  3 2
    北九州市立大  4(1)  3(1) 2(1)   3 
    長崎県立大    8(1)   1 4(1)   3 
    熊本県立大   -  1 1(1)   3 
             
その他   42(6) 31(2)    48(1)  58(2)  45(4)  47(3) 
             
合計  144(22) ※121(7) 123(6) 157(12) 142(12) 129(12)
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役)の割合
※35.6%  ※ 33.1%    34.2% 45.7% 41.4% 39.7%
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役・浪人含む)
の割合
※42.0% ※  35.2%     36.0% 49.5%   45.2%  43.7%
対策実施     県立高校学力向上推進総合プラン 県立高校学力向上
推進プロジェクト

09.18.07:11

加世田高校の大学合格実績

進学指導推進校の一つである加世田高校の大学合格実績から学力向上推進総合プラン等の効果について分析してみます。

加世田高校は、少なくとも平成12年度以降は5クラス(定員200人)で推移していますが、毎年定員割れが生じており、二次募集を行っているものの最近は二次志願者はおらず、平成19年度170人、平成20年度199人、平成21年度191人の入学者となっています。

加世田高校は、川辺学区に属し、当該学区には普通科は川辺高校、普通科以外では枕崎高校、鹿児島水産高校、加世田常潤高校、薩南工業高校があり、平成21年度は学区内定員960人に対して川辺高校を除いて定員割れが生じており、101人定員割れとなっています。

また、同学区内の私立高校には鳳凰高校があり、定員370人に対して高校1年生は348人で、普通科は文理コース定員30人に対して42人、普通科特進コースⅠ類・Ⅱ類定員50名に対してⅠ類27人、Ⅱ類26人の合計定員80人対して95人が入学し、平成21年度は鹿児島大学をはじめ13の国公立大学に合格しています。

鳳凰高校の文理コースの特待生は、特待Aの場合修学旅行積立分4500円を除く月納金50150円に対して49500円が免除され、生徒指導費300円とPTA会費350円の650円のみ、特待Bはこの650円に進路指導費5000円と実習費2000円を含む7650円となっています。

また、予備校のサテライト授業を受けることも可能なようで、設備が整っているようです。

したがって、普通科をみると、加世田高校は鳳凰高校に普通科志望の学生を取られているようにも見えます。

さて、大学合格実績は下の表のとおりとなっています。
平成17年3月、平成18年3月の卒業生数等が不明で十分な分析はできていませんが、今後データの収集に努めたいと思います。


加世田高校の国公立大学合格実績   (  )は過年度卒業生  【   】は平成14年度高校1在学生数
卒業年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
卒業生数   【201】    189 178 160
国立大学            
   鹿児島大   35 38(5) 45(7) 27 24(2)
   九州大   4 3 10(1) 5 4
   神戸大    1  -  -  -  2
   広島大    1  3(1)  6
   熊本大    3  5(1)  10  6(2)
   宮崎大    8  5 8 2  7 
    京都大   1 1
    大阪大   1 2 2 2 1
    東北大   1 1  
    一橋大   1    
   その他    37  34(1)  40(5)  24(3)  33(3) 
   小計   92 89(6)  114(15)  73(3)  83(7) 
             
公立大学             
    都留文科大   - 
    下関市立大    -  1
    北九州市立大    8 
    長崎県立大    -  2(1) 
    熊本県立大    -  -   5 
    その他      6(1)  15(2)   4  8(1) 
小計   17 14(1) 24(2) 18 19(2)
合計   109 103(7) 138(17) 91(3) 102(9)
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役)の割合
           %        % 64.0% 49.4% 58.1%
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役・浪人含む)
の割合
       54.2%         % 73.0%   51.1%  63.8%
対策実施     県立高校学力向上推進総合プラン 県立高校学力向上
推進プロジェクト

09.17.00:05

指宿高校の大学合格実績

河合塾の情報誌「ガイドライン」の記事を掲載してきましたが、下記アドレスで御覧ください。

http://www.keinet.ne.jp/doc/gl/09/04/fudoki_0904.pdf

県立高校学力向上推進総合プラン等の効果を図るためには、プラン等が開始された平成17年度以前の平成17年3月卒業以前の高校の合格実績が必要です。

学力向上推進校の1校である指宿高校のホームページに平成16年3月卒業生以降の合格実績が掲載されており、学力向上対策の評価を行うことができます。

平成16年3月卒業生の実績に比較して、対策前年の平成17年3月卒業生は、卒業生に対する現役合格率、全体合格率とも若干上昇していますが、対策中の平成18年3月卒業生、平成19年3月卒業生と次第に上昇し、
推進プランの3ヶ年を経験した平成20年3月卒業生は、現役合格率、全体合格率とも上昇し、平成16年3月に比較して、約2倍の状況となっています。

平成21年3月卒業生は、平成19年3月並の合格率となっています。
このデータからすると、学力向上対策により、指宿高校においては現役合格率、全体合格率とも高まっており、一定の効果が上がっているものと推定されます。

指宿高校の国公立大学合格実績     (  )は過年度卒業生
卒業年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
卒業生数 229 198 196 187 152 152
国立大学            
   鹿児島大 20(6) 16(2) 13(1) 15 18(2) 22(5)
   九州大 2(1) 2(1) 3 3 1 1
   神戸大 -  -  -  1(1)
   広島大 1 -  1(1)  -  1
   熊本大 2 -  1
   宮崎大 2(1) -  4 3 2 1(1) 
   その他 12(1) 18  8(1)  22  14(2)  11 
   小計 39(9) 37(3)  31(2)  46(1)  37(4)  38(7) 
             
公立大学             
    都留文科大
    下関市立大 
    北九州市立大 1 - 
    長崎県立大 
    熊本県立大  - 
    その他  12 
小計 13 11 20 11 24 16
合計 52(9) 48(3) 51(2) 57(1) 61(4) 54(7)
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役)の割合
18.8% 22.7% 25.0% 29.9% 37.5% 30.9%
卒業生数に対する
国公立大学合格者
(現役・浪人含む)
の割合
 22.7% 24.2%   26.0% 30.5%   40.1%  33.6%
対策実施     県立高校学力向上推進総合プラン 県立高校学力向上
推進プロジェクト

09.16.00:17

進学指導推進校の大学合格実績

県立高校学力向上推進総合プラン(2005~2007)は平成17年度~平成19年度に実施され、現在県立高校学力向上推進プロジェクトが実施されています。

進学指導推進校13校の平成19年度~21年度の大学合格実績は、以下のとおりです。
この大学実績をみることによって、学力推進のプランやプロジェクトの効果を見ることができるのではないかと思います。

表の見方ですが、(  )がないのは高校のホームページの数字で、(  )はサンデー毎日等のデータによるものです。
高校によっては、全体の合格者のみ公表され、詳細は公表されていない場合には、サンデー毎日等のデータで補完しています。

また、S1大学等の区分については、高校のホームページで学部学科まで公表されているケースは少ないため、便宜的に大学で区分しています。

なお、学力向上推進総合プラン等の評価は、プランが開始される1年前の平成16年度の合格実績との比較を行うべきであるが、このデータを公表している高校は少ないので、厳密な評価はできていません。

平成19年度の大学実績は、学力向上推進プランが開始されてから2年経過しているため、ある程度成果が出た数字の可能性もあります。

【加治木高校】
平成14年度、高1のクラスが9クラス(360人)から8クラス(320人)に減少した以降は、定員の減少はない。したがって、平成19年度~平成21年度の3ヶ年度の大学実績は補正することなくそのまま進学指導の評価に活用することができる。
平成19年度が合格者数199人と最も多いが、平成20年度、平成21年度とS1大学、S2大学が増加し、S3大学以上の合格者が大幅に増えるなど学力の質的向上が見られる。

【加世田高校】
1学年のクラス数は、平成12年度まで遡っても5クラス(200人)と現在の定員数と変わらない。
平成19年度が国公立大学の合格者数が最も多く、S3大学以上も最も多いが、平成20年度、21年度には、S1大学の合格者が出ている。

【鹿屋高校】
平成14年度、高1のクラスが9クラス(360人)から8クラス(320人)に減少した以降は、定員の減少はない。したがって、平成19年度~平成21年度の3ヶ年度の大学実績は補正することなくそのまま進学指導の評価に活用することができる。
平成21年度の大学合格実績は、高校のホームページに公表されていないため、週刊誌等のデータで補完しているため、若干少な目に出ているものと想定されることから、合格者数は3ヶ年ともほぼ変わらないと考えられる。
平成21年度にはS1大学の合格者が出たが、S3以上の大学の合格者数はほぼ一定である。


<資料1> 県立高校学力向上推進総合プラン(2005~2007)における推進指定校
学力向上推進校(8校) 鹿児島西、枕崎、吹上、隼人工業、串良商業、鹿屋農業、垂水、奄美
進学指導推進校(13校) 指宿、加世田、川辺、伊集院、川内、出水、大口、加治木、国分、志布志
鹿屋、種子島、大島


高校別大学合格実績(学力到達ゾーン別)  上段:平成19年度、中段:平成20年度、下段:平成21年度
高校 国立 公立 S1 S2 S3 小計 A1 A2 A3 B1 B2 小計
指宿高校  57
 61
 49
46
37
38
11
24
11
    3
1
2
  3
  1
  2
4
2
2
16
19
23
24
24
14
10
15
 8
    54
  60
  47
加世田高校 138
  91
102
114
  73
  83
24
18
19

1
1
2
2
1
 12
  5
  6
 14
  8
  8
11
15
17
62
34
36
30
31
29
21
  3
13
  124
   83
    94 
川辺高校

   43 
  43
  34

 (26)
32
(19)
(9) 
11
(6)
 

1
         

  1
(3)
3
(2) 
(13)
25
(11) 

(8)
13
(5)

(2)
2
(6) 
   (26)
  43
  (25) 
伊集院高校   85
  78
  85
67
65
64
18
13
21
      2
  4
  7
   2
   4
   7
 13
   7
   5
40
38
37
13
20
26
 16
   8
   9
1
1
1
 83
     74
     78
川内高校 169
154
141
 (129)
(110)
(  94)
 (35)
(32)
(39)
 1
 0
 2
3
2
1
8
5
4
 12
  7
  7
(21)
(30)
(19)
(56)
(58)
(45)
(37)
(36)
(42)
(27)
(12)
(20)
 
(1)
 
 (141)
(137)
(126)
出水高校  

72
 (37)
(43)
(39)

 (20)
( 3)
   
(1)
(1)
(4)
(3)
(1)
(4)
(4)
(2)
(9)
(8)
(4)
(16)
(20)
(24)
 ( 4)
(19)
( 8)
 ( 4)
(12)
( 4)
  (33)
(59)
(40)
大口高校 ( 6)
(11) 
 
              (3)
(9)
 
(2)
(2)
 
 (1)

 
   ( 6)
(11) 
 
加治木高校  199
163
184
 168 
133
157
31
 30
  27 
 0
3
5
0
0
5
16
  9
17
16
12
 27 
35
32
22
89
69
87
37
40
38

22
11
   9 



1
183
152
 157 
国分高校  53
 44
 59
 (38)
(39)
 

(1)
 
 

(1)
   
(1)
(2)

(1)
(3)
(5)
(3)
 
(23)
(22)
 
 (9)
(11)
 
(1)
(6)
 
  (38)
(42)
 
志布志高校  
44
39
 
30
30

14
   9 
   
  3
  1
 
3
1

5
 3 

14
12 

15
18 

6
 5 
 1 

41
38
鹿屋高校  167
171
(150)
120
130
(127)
47
41
(23)
 

 ( 2)
 
  3
 (1)
8
8
 (7) 
  8
11
 (10) 
 23
 24
 (11)
54
60
(64) 
58
57
(45) 
23
18
 (20) 
1
1
 
159
160
(140) 
種子島高校 (10)
(13)
 (15) 
 (10)
(13)
(  9)
 

(6)
         
(1)
(2)

(7)
(4) 

(4)
(1) 
(2)
(1)
(2) 
   (10)
(13)
(  9)
大島高校 (34)
(84)
(89) 
(34)
(54)
(70) 

(27)
(18) 
(1)

(1) 

(1)
 
(3)
(2)
 
(4)
(3)
 (1) 
(4)
(7)
(15) 
(18)
(16)
(19) 
(5)
(33)
(37) 
(3)
(22)
(16) 

(3)
(1) 
(30)
(81)
(88)
 高校ホームページのデータによる。ただし、 (  )は、サンデー毎日等のデータ


09.15.01:13

ラ・サール高校の進学指導

ラ・サール高校

学年の枠を超えた交流が人間形成の上で大きな意義を持つ
 1950年、カトリックの教育修道会「ラ・サール会」によって設立された。中学は4クラス、高校は6クラス。高校1年次は、内部進学者と高校からの入学者は別クラス編成で、2年次の文理分けの時点で混合クラスになる。長らく文系2クラス、理系4クラスで推移しているが、クラス数は同じでも、人数で見ると大幅な変化が生じている。

 「20年前であれば文系志望者が120名ほどいましたが、今年度は約60名と半減しています。理系の中でも、医学部志望者が圧倒的に多く、それが近年の合格実績にも反映されています。また、東京大学の現役受験者数は、毎年百数十名いましたが、近年は半分近くにまで減少しています。一方で、国公立大学医学部の合格者数は、2007年度が全国でトップ、2008年度も3位になっています」(麻生善三先生)

 医学部志望者の増加に伴って、2007年度から、面接対策にも力が注がれている。3年次の10月に、医学部志望者を集めて、面接に関するレクチャーを約1時間実施。入試直前には模擬面接も行われる。
「実際に模擬面接を行ってみると、医師になるためには当然の常識と思われることが抜けている生徒も見られます。けれども、本番直前では、問題点を十分にフォローできません。今後はもっと早い時期に模擬面接を実施して、不足部分をカバーするきっかけを与える必要性を痛感しています」(麻生先生)

 そのほか、同校の教育の特色になっているのが、多くの生徒が寮生活を送ることだ。「学年の枠を超えた交流が、人間形成の上で大きな意義を持っています。中学寮は8人部屋(高校寮は個室)で、各学年2~3人ずつがこの部屋で一緒に生活します。その中で、風呂の入り方などの生活のルールや、授業でのノートの取り方、予習復習の方法、寮の自習で各教科に費やす時間配分などの勉強方法についても、先輩が教える雰囲気が醸成されています。いわばラ・サールの流儀がそうやって継承されているわけです。また、中学寮には自習室があり、1日3時間、義務自習の時間が設けられています。30分の休憩をはさんで、前後90分ずつ、私語や読書は一切禁止で、集中して勉強に取り組んでいます。高校寮では生徒がそれぞれの部屋で自主的に学習します。なお、寮は高校2年生までで、3年生からは指定下宿に移ります。消灯時間が中学寮は11時、高校寮は12時と決められているので、それ以降も勉強したい生徒に配慮しています」(麻生先生)

 また、近年、同校では進路意識を高めるさまざまな試みが導入されている。例えば、2年前からスタートしたのが東京大学主催「高校生のための金曜特別講座」の中継だ。東京大学の駒場キャンパスの公開講座を、インターネットでつないでリアルタイムで受講できるようにしている(同校のほか、約30高校が同時に受講)。双方向型で、質疑応答も可能で、高度な学問に触れる機会になっている。

 2005年度からは「東大見学会」も実施されている。夏休みに、1・2年生の希望者を引率して、OB教員の研究室を訪問し、夜はOB学生との交歓会も行われる。寮生活を通して、親しい先輩も多いので、活発な交流が展開されている。身近な先輩の話を聞くことで、大学の様子がイメージしやすいメリットがあるという。
 さらに、2008年度から、進学係主催の講演会もスタートした。「医学部入試の現状」などのテーマで、何人かの教員が講師を務め、今年度は4回実施されており、各学年から毎回100 名近い生徒が参加している。

 「このように、本校では、さまざまな進路行事を増やしています。大学で何を学びたいのか、どんな職業
をめざしたいのか、明確な将来イメージを持てない生徒が近年増加しているように感じるからです。今後も、生徒一人ひとりが自分なりの方向性を見定めて、それに向かって学習のモチベーションを高められるような指導を強化していきたいと考えています」
(麻生先生)

09.14.00:05

鶴丸高校の進学指導

鶴丸高校

先輩の協力を得て実施する進路行事を豊富に設定

 1894年、鹿児島県尋常中学校として創立。旧制第一中学校、第一高等女学校を前身とする伝統校で、鹿児島県で最も古い歴史を有する。1学年は普通科8クラスで、2年次から文理分けが行われる。国公立大志望者がほとんどで、例年高い合格実績を上げている。

 鹿児島県の公立高校は、朝課外や放課後補習などで学習時間を確保するところが多いが、同校の場合は、朝、放課後の補習は一切行われていない。夏休み、冬休みの補習も、例えば、夏休みは1・2年次が7月末まで、3年次が8月初旬までと、他校と比較すると少なめだ。ただし、土曜日は月1~2回、「土曜悠学講座」が開講されている。1日4時限で、1・2年次は3教科、3年次は5教科の講座だ。

 こうした指導体制をとっている理由を、秋元達也先生は、次のように語る。
「学力レベルの高い生徒が多いので、各自の自発的な学びを進めてほしいという期待を持っています。そのため、補習も少なくしています。2年前からは、全教科とも、それまで相応の量を課していた必修課題(いわゆる宿題)を減らす方針も打ち出しました。その結果生まれた余裕を有効に活用して、自分なりの専門的な学習を深める生徒もいます。けれども、その一方で、必修課題が与えられないと、自学自習が進められない生徒も出てきています。中学時代に塾通いをしている生徒が多く、与えられればそれなりに勉強するのですが、自主的に学ぼうとする姿勢が身についていないケースがあるのです。教員の間には、そうした生徒に対しては、ある程度強制的に勉強させることも必要だという意見もあり、今後、検討しなければならない課題だと考えています」

 また、同校の進路指導で注目されるのが、卒業生を活用した進路行事が豊富に設けられていることだ。その1つが「GO鶴セミナー」だ。1年次は地元・鹿児島、2年次は修学旅行を兼ねて東京に出かけ、全生徒が先輩の職場を見学する。仕事の内容だけでなく、受験時代の体験談などを聞く機会にもなっているようで、生徒たちにも好評だ<資料8>。

 1年次の10月には、鹿児島大学に在学中の先輩による「学部・学科説明会」を実施し、文理選択に役立てている。さらに、毎年、3月下旬に、その年に難関大学に現役合格した先輩を招いて、最もホットな「合格体験を聞く会」を開催。難関大学を身近な存在と感じさせ、チャレンジ意欲を高めている。
 3年次の医学部志望者に対しては、鹿児島大学医学部の在学生が、面接のアドバイスも行っている。自分の体験をもとに、実際の面接で聞かれたこと、対応の方法、面接会場に持参した方がいいものなど、具体的な情報を得ることができ、大いに役立っているようだ。

「鹿児島県全体に共通する風土なのかもしれませんが、昔から、卒業生が高校に協力的で、後輩の面倒を見るのは当たり前といった雰囲気があります。例えば、本校の生徒は、国公立大学の2次試験受験のために、全国各地に出向くのですが、そこでは卒業生が待ち受けていて、大学の下見の案内なども引き受けてくださっています。とてもありがたいことであり、今後も受け継いでほしい気質だと感じています」(秋元先生)

<資料8>鶴丸高校「GO鶴セミナー」の体験談(一部抜粋)

●「文化庁の先輩を訪問。その多岐に渡る仕事内容、日本や世界を股にかけたやりがいのある仕事に感動を覚えました。また、進路のこと、高校時代のことについて自分の経験を交えて話していただきました。学部の選択のことや受験勉強での心構えなどを聞いて、これからの志望校・学部の決定などに際して、とても参考になりました」

●「法律事務所の先輩を訪問。特に印象に残ったのが『社会で生きていくためには、仕事に対するやる気と、他人とコミュニケーションをとれることが必要だ』という話だ。相手を説得したり、説明したりする際のコミュニケーション能力がさまざまな場面で必要になってくるということだ。僕たちは、日頃の学校生活でもプレゼンやスピーチの機会が与えられているが、その機会をもっと大切にすべきだと感じた」

●「NHKを訪問。TV番組の出演、生放送の見学、アフレコ挑戦などを体験しました。一番感じたことは、仕事にはいくつもの役割があり、それぞれがそれを全うすることで成り立っているということです。どれか1つが欠けてもよい仕事はできません。それは部活動にも通じるところがあるように感じました」

09.13.07:09

甲南高校の進学指導

甲南高等学校

総合的な学習の時間を活用した「KIプロジェクト」が威力を発揮
 1 9 0 6 年創立の旧制第二中学校、1910年創立の第二高等女学校を前身とする伝統校。1学年は普通科8クラスで、文理分けは2年次から。文系3クラス、理系5クラスと、理系志望者が多い。例年200名以上が国公立大学に進学している。スクール・アイデンティティである「地球規模でものを考えるリーダーの育成」を実践するために、2001年度、総合的な学習の時間を活用した「KI(甲南イノベーション)プロジェクト」を立ち上げている<資料6>。
「地球規模でものを考えるリーダーに求められる資質とは何か。本校では、創造性(課題意識のある生徒)、人間性(人間理解の深い生徒)、表現力(自己表現のできる生徒)が重要だと考えました。KIプロジェクトはこの3つの資質を養成するために必要な教育を逆算して、多様な活動を推進しています」(藤崎恭一先生)

 まず1年次の1学期には、現代社会の諸問題を学ぶ「テーマ学習」が行われる。1学期末には、学んだことに関する「小論文コンクール」を実施。2学期には、4回のディベートが設けられている。「1学期末の小論文は、まだ論理的でない面が多々見られますが、ディベートを経験することで大きく変化します。根拠が不確かなものは説得力が弱いため使えませんし、論理性が高くないと勝てません。曖昧な表現も不利になりますから、表現力も向上します。インターネットや書籍などで情報を収集する作業を通して、捨てる情報と生かす情報の取捨選択能力も自然と身につきます。その上で、3学期に再度、テーマ学習を行い、小論文コンクールを実施すると、見違えるほど論理的な文章に仕上げてきます」(藤崎先生)

 2年次は、テーマ学習を行った後、学部・学科研究に入る。週1回のKIの時間は、それまではクラス単位の活動だが、この時点でクラスを解体し、20 ~ 50 名の進路志望系統別のグループ編成(KIグループ)になる。志望学部が近い生徒同士が集まり活動する中で、お互いに刺激を受け合う効果が期待できる。2学期半ばには、大学教員による出張講義「KIブラッシュアップセミナー」がスタート。この講義や、テーマ学習などで学んだことを参考にして、自分が研究したいテーマを設定して、2年次3学期から3年次1学期にかけて「課題研究」を進める。

 課題研究の発表原稿は5月末までに作成し、まず6~7名の班内で発表会を開催。構成力、話し方など、いくつかの項目が設けられた審査用紙をもとに、生徒同士で相互評価が行われる。次いで、各班から選ばれた代表者が、KI系統グループ内で発表し、最優秀者を決定。さらに、各グループの代表者が1学期の終業式で3年生全員の前で発表し、大賞を選定する。大賞受賞者は、9月の文化祭で後輩や保護者の前で発表することになっている。

 「リーダーとしての資質養成が目的であり、必ずしも入試に直結しているわけではないのですが、志望進路に変化が見られることも事実です。プロジェクト活動を通して、将来学びたいことが明確になり、意欲が高まった結果、難関大学を目指す生徒が着実に増えているのです。生徒にどんどん教え込んで鍛えることが、学力を伸ばす最適な方法だと考える指導体制の時期もありましたが、より効果的なのは、自分で学ぼうという気持ちを強めることではないかと思います」(藤崎先生)

 もう1つ、特筆しておきたいのは、このプロジェクトがうまく機能するために、教員の負担軽減に配慮されているということだ。テーマ学習、ディベート、課題研究それぞれに、詳細な冊子を作成。例えばディベートなら、進行に関するセリフは全て記載されており、内容に関わる部分だけをリサーチして発言すればいいようになっている<資料7>。これならディベート指導に慣れていない教員でも十分に指導できるし、生徒にとっても、ルールについての理解に時間をとられることなく、学びの中身を深めることに重点が置けるわけだ。

 なお、同校では、このKIプロジェクトと、大学進学に向けた学力強化を、進路指導の2本柱としているが、「KIプロジェクトが、いわば『ビタミン剤』の役割を果たし、大学進学に向けた学力強化にも少なからず好影響を与えているのではないかと思います」と藤崎先生は語る。例えば補習は、始業前に1年次は週5日、3教科で実施。2年次以降は必要に応じて、柔軟に他教科の補習も取り入れている。さらに3年次からは放課後講座、土曜講座も加わる。これらの講座は、自分の志望大学・学部にターゲットを絞った講座が選択できるようになっている。そのため、3年次には強制されて仕方なく補習を受けているという感覚は薄く、積極的に学ぼうという雰囲気が生まれているという。そのほか、日常生活における読書の習慣化を図る「朝の読書」や、各界の第一線で活躍中の卒業生を招いて、ものの見方や考え方、仕事への思いなどを語ってもらう「甲南塾」なども実施されている。

09.12.00:06

鹿児島玉龍高校の進学指導

鹿児島玉龍高校

中高連携、高大連携を図り活発なキャリア教育を推進
1940年創立の鹿児島市立の普通科高校。2006年度に中学校が設置され、併設型公立中高一貫教育校になった。中学は1学年3クラス、高校は6クラスである。「中学段階では、私立の一貫校のような極端なカリキュラムの前倒しは行っていません。基礎基本重視を心がけています。なお、教員は、基本的には中学と高校で別なのですが、中学3年生だけは、中学と高校の教員が相互乗り入れして、授業の一部を担当しています。中学生の学力状況などを事前に把握した上で、スムーズに高校の学習に入れるようにするためです。私も中学の授業を担当しているのですが、かなり進学意識が高く、高い志望を持つ生徒も多いようです。予習・復習の取り組みもしっかりしていますし、図書館の貸し出し数が急増するなど、読書意欲も旺盛です。今年から中高一貫の第一期生が入学してきますが、相応の学力を備えていることが期待できそうです。高校からの入学者とは学力が異なるケースもありうるので、まず、高校1年次では別クラス編成にして、2年次の文理分けの際に混在させる予定です」(坂本昌弥先生)

 同校の大きな特色といえるのが、中高一貫校になったことを契機として、2006年度からスタートした多様なキャリア学習「鹿児島玉龍キャリア教育プロジェクト」だ。「鹿児島大学や九州大学など、学部・学科の多い総合大学と連携し、さまざまな学問分野を本校の日常の教育内容に取り込むことによって、大学・大学院の仕組みを理解することを目的としています。現在の学問体系は、高度化、複雑化、学際化しており、特に最先端科学は、予備知識のない中学生・高校生には理解しにくい面があります。早めに多様な学問分野に触れるチャンスを与えることで、将来の選択肢の幅が広がるはずです」(坂本先生)。例えば、2006年度は、夏休みに高校1・2年生589名、中学生120名が鹿児島大学に集合。延べ28におよぶ連携講座を受講した<資料4 >。90分講義を1講座として、2講座受講できる形だ。生徒へのアンケート調査の結果を見ると、受講前後で意識が大きく変化しており<資料5 >、学問への興味・関心の喚起につながっていることが分かる。

 また、東京大学、九州大学、九州工業大学、熊本大学などの出前講座も実施している。ユニークなのは、各講師に3タイプの講座を連続で担当してもらうように依頼していることだ。中学生用、高校生用、および中学・高校の保護者用の3タイプだ。生徒用は学問の中身や、学部・学科紹介、保護者用の講座は大学の特色や、入試制度の説明などが主体になっている。さらに、中学2年生の3学期には、九州大学に出向いて連携講座を受講。中学3年生の3学期には、東京大学など、首都圏の難関大学の見学と連携講座の受講も行われている。補習の体制も注目される。全学年ともに、7時45分から8時15分まで、問題演習を中心とした朝課外を実施。放課後は、3年次の高校総体以降、3回の「放課後特訓」が行われる。「各回1カ月間、1教科だけに集中して鍛える講座です。苦手教科、あるいは逆にさらに伸ばしたい教科を生徒が選択して、徹底的に学習させています。1カ月あれば、基礎基本から問題演習まで、体系的な指導を行うことができ、着実に成果があがっています」(坂本先生)

<資料4>玉龍高校2006年鹿児島大学連携講座一覧
高校学校対象

文理 対象学部 担当教員 内         容 希望者数
法文学部 皆村 武一 グローバル時代の鹿児島の経済と社会   52
法文学部 竹岡 健一 英語からドイツ語へ 108
教育学部 内田 芳夫 障害児の発達と教育   24
教育学部 伊藤 正 西洋古代史   44
教育学部 岡田 猛 人は、なぜ体育・スポーツを行い、そこから何を得ているか   73
文理 医学部 清水 佐智子 成人看護学 ハンドマッサージでリラックス 145
理学部 新森 修一 情報ネットワーク   22
理学部 根建 心具 宇宙人はいるか? 161
理学部 今井 裕 天文学の世界    12
理学部 橋爪 健郎 自然エネルギーと平和な世界      7
理学部 清原 貞夫 動物の超能力   83
文理 理学部 河野 元治 地球環境に対する新たな視点     5
理学部 今井 裕 天文学の世界   33
理学部 橋爪 健郎 自然エネルギーと平和な世界   31
文理 理学部 河野 元治 地球環境に対する新たな視点   27
農学部 富永 茂人 おいしい果実ができる謎 149
農学部 鈴木 秀作 動物実験と動物モデル   63

<資料5>玉龍高校
連携講座受講前後の生徒の意識の変化
講座内容が将来の進路選択に役立ちそうか
区分 はい いいえ
講座前 61 39
講座後 97

09.11.00:12

加世田高校の進学指導

鹿児島県立加世田高等学校

3年次の「放課後学習」に生徒たちが意欲的に取り組む
 1912年創立の川辺学区の拠点校。部活動や学校行事が活発で、11月中旬には、全員参加の「35キロ遠行」など、ユニークな行事もある。1学年は普通科5クラスで、文理分けは2年次から。ここ数年、文系2クラス、理系3クラスの構成になっている。2年次からは、文理1クラスずつ習熟度別のクラスも設けている。

 国公立志望者が多く、ほとんどがセンター試験で5教科7科目を受験する。全学年とも、7時40 分から8時20分まで朝課外を実施している。1年次は3教科、2年次は3教科を中心に理系は2学期後半から理科が加わる。3年次は5教科。講義形式が主体で、授業の補完的な位置づけだ。問題演習が課されることもある。長期休暇中の補習は、夏休みは1年次が1 5 ~16 日間、2年次が17~ 18 日間、3年次が19 ~ 20 日間実施。冬休みは1・2年次が3~4日間、3年次が6~7日間実施している。1日当たり、1年次は4時限、2年次は5時限、3年次は6時限行われている。クラス単位で補習の時間割
が設定されており、全員が同じ補習を受講する形だ。

 また、3年次は高校総体以後、センター試験直前まで、「放課後学習」が行われる。授業が6時限目までの日(週2日)は2コマ(50分+60分)、7時限目までの日(週3日)は1コマ(60分)だ。興味深いのは、この放課後学習は、いわゆる補習ではなく、自学自習の場になっていることだ。「各教科の教員が、問題プリントを作成して配布。各自で解いた上で、自己採点して、復習するスタイルです。問題のレベルは、当初は基礎学力の定着を目標として、次第にセンター試験対策に移行していきます。その日、どの教科の学習を行うかは、事前に計画表が作られており<資料3 >、各教科で年間計画を立てて、着実にステップアップが図れるように工夫しています。クラスごとに教科連絡係が決められており、その生徒が各教科の担当教員のところにプリントを取りに行き、皆に配布して学習をスタートさせるなど、完全に運営を生徒に任せているのですが、それで十分に機能しています。皆、真剣に取り組んでおり、自学自習の姿勢が身についていることは、先輩たちから綿々と受け継がれてきた本校の伝統であり、強みでもあると思います」(稲本眞澄先生)

さらに、3年次には、12月の第一週の土日から、センター試験直前の土日まで、5~6週連続して「休日学習」も実施されている。
「センター試験型の模試を解く学習ですが、土曜日は8時から17時、日曜日は15時まで行われます。なぜそんなに長時間かかるのかというと、1科目を所定の時間で解き終えた後、放課後学習と同様に、各自で自己採点して復習する時間を各科目45分間設けているからなのです。生徒にとっては、5~6回分のセンター試験直前予想問題の模試を毎週受け続けることになります。一方で、教員は各回の成績を分析して、学力状況や弱点分野の把握などに役立てています」(稲本先生)

ほかにも、夏休みにバスをチャーターして、1・2年生の希望者約100名が鹿児島大学のオープンキャンパスに参加している。また、7月下旬には、2・3年生を対象とした出前講座も開催。主に九州地区の大学に依頼して、約15講座が設けられる。内容は、学問に関するものと、学部・学科紹介の両面で、生徒は志望学部に関連する講座を受講できるようになっている。

<資料3>加世田高校 平成20年度 3年生2学期 「放課後学習の計画」
7限 50分 8限 60分
文系 理系 文系 理系
   9 理科選択 理科選択 現社 化学
  10 国語 国語
  11 数学 数学 英語 英語
  12 地歴 地歴
  16 理科選択 理科選択 現社 化学
17 国語 国語
  18 数学 数学 英語 英語
  19 地歴 地歴
  22 理科選択 理科選択
  24 現社 化学
  25 小論文 化学 小論文 化学
  26 国語 国語
  29 数学 数学
  30 英語 英語 地歴 地歴
 

09.10.06:14

加治木高校の進学指導

加治木高校

初見の問題への耐性を養うために予習の取り組みを強化

1897年開校の姶良・伊佐学区の拠点校。島津第17代当主・島津義弘公の居城跡に建てられた校舎は、古い木立に囲まれ、落ち着いた佇まいを見せている。1 学年は普通科8クラスで、文理分けは2年次から。例年、文系・理系ほぼ半々に分かれる。1年次から選抜クラスを2クラス設けており、2年次からは文系1クラス、理系1クラスが選抜クラスになる。選抜クラスは進度がやや早く、その分、高度な問題演習の機会が多めに設けられている。

 同校の最大の特色は、2003年度から、予習を重視した教育が展開されていることだ。「現行の学習指導要領への移行に伴い、生徒の学習意欲や、家庭学習の状況に課題が感じられました。中学まで塾に通っている生徒が多く、それなりに勉強時間は確保しているのですが、塾で与えられたものをこなすことに終始しているように見えたのです。けれども、大学入試に対応するには、教えられた知識だけで問題を解くのではなく、まったく見たことがない問題であっても、自分の力で思考して、切り崩して、解法の糸口を見つけようとする姿勢が要求されます。そうした初めての問題への耐性をつけるには、予習が有効だと考えたのです」(中須康文先生)

 
予習のやり方を体得させるために、入学直後に2日間、オリエンテーションも行われ、またシラバスの充実も図られている。「英数国に関して、3時限ずつオリエンテーションを実施しています。1時限目は予習の方法、2時限目は授業の受け方、3時限目は復習の方法を、実際に生徒にやらせながら、徹底的に指導しています。つまり、英数国をそれぞれ半日かけて、順次、勉強のやり方を教えていくわけです。また、シラバスも充実させています。『学習内容』『到達目標』などが明示されており<資料2 >、生徒はどの時期までにどんな学習が行われるのか、明確な目標を意識しながら学習を進めることができます。さらに、教員は学年ごとにより細かい進度表を作成。それに従って、毎時間の授業内容の構想を練り、生徒にもどこまで予習する必要があるのか、適切に指示するように心がけています」(北浩憲先生)

 生徒が予習をしっかりやるようになったことで、授業の進度が早められるメリットも生まれているという。「例えば数学では、予習が十分でないと、3年次の2学期まで数学Ⅲ・数学Cの教科書を終えることができません。けれども、本校では、予習前提方式に切り換えてから、5 ~ 6月までに教科書を終えることが可能になり、それによって、その後の授業を問題演習中心に転換できるようになりました」(中須先生)

 
また、補習は、朝課外として、7時25 分から8 時10 分まで行われる(期間は学年によって異なる)。全員参加で、1年次は3教科の授業、2年次以降は必要に応じて理社の授業が加わる。放課後の補習は、1・2年次は実施されていない。文武両道を重んじる校風により、部活動を阻害しないようにするためだ。3年次の6月からは、放課後、クラス単位で45分×2時限の「自習」を行う。同一時間帯に、単元別や、難関大学にターゲットを絞ったものなど、さまざまなタイプの補習も開講されており、希望する生徒は受講可能だ。そのほか、夏休みの補習は、前期が7月末日まで、後期はお盆過ぎから8月28日まで実施される。1・2年次は5時限、3年次は7時限と、平常時並みの時間が用意されている。

資料2 加治木高校 2年生・理系クラス数学の授業計画
    
 自己評価の記入欄(該当するものを選ぶ。) A よくできた B ややできた C あまりできなかった D 全くできなかった


学習項目(単元) 学習内容 到達目標 自己評価



第5章 
指数関数と対数関数
指数関数および対数関数について
学習し、関数についての理解を深
め、それらを具体的な事象の考察
に活用できるようにする。
指数法則を用いて、指数を
含む計算ができる。
A B C D
    対数の性質を用いて、対数
を含む計算ができる。
A B C D
        指数・対数関数のグラフが
かける。
A B C D
 

 
数学B 第1章 
平面上のベクトル
ベクトルについての基本的な概念を
学習し、基本的な図形の性質や関
係をベクトルを用いて表現し、いろい
ろな事象の考察に活用できるように
する。また空間座標を用いて、図形
の基本的な計量について学習する。
ベクトルの和・差・実数倍の
演算ができる。
A B C D
  (1節 ベクトルと
その演算)
内積の計算ができる。 A B C D
    (2節 ベクトルと
平面図形)
  位置ベクトルを用いて分点
その他の計算ができる。
A B C D
 
第2章 
空間のベクトル
  直線のベクトル方程式を作
ることができる。
A B C D
    空間座標を用いて計算がで
きる。
A B C D
 
第3章 数列 簡単な数列とその和、および数学的帰
納法について学習し、それらを用いて
事象を数学的に考察し処理できるよう
にする。
等差・等比数列の一般項、
和が求められる。
A B C D
    階差数列や特殊な数列の
和の計算ができる。
A B C D



      漸化式の計算や、数学的帰
納法を用いた証明ができる。
A B C D



09.09.00:09

鹿児島県の高校教育

今年4月に、河合塾情報誌に鹿児島県の高校教育について掲載されていましたので掲載します。

先輩から後輩へ継承される学びの姿勢

「郷中教育」の精神
昨年、『篤姫』ブームに沸いた鹿児島県。このNHKの大河ドラマで、江戸から遠く離れた地にありながら、薩摩から数多くの有為な人材が現れ、明治維新をリードした姿が、改めて浮き彫りになった。
その背景には、薩摩藩では「郷中教育」という独特な青少年教育が取り入れられていたことも関係している。郷中教育とは、一定の区域を郷という単位で区切り、そこに住む武士の子弟が自発的な学習組織を編成。身分の上下などに関係なく、先輩が後輩を厳しく鍛える教育制度である。教育内容は心身の鍛練、礼節の重視、儒学や短歌といった教養など、多岐に渡った。
そうした伝統を受け継いで、鹿児島県には人材育成こそが生命線という共通認識が醸成された。教育に極めて熱心な風土であり、その結果、大学合格実績の高い高校が林立。国公立大学に3ケタの合格者を輩出する高校が数多く出現した。

中高連携を活発化させる県の取り組み 
 鹿児島県では現在、県全体としての取り組みが活発化している。学力向上面に関連しては、2005年度から2007年度にかけて、「県立高校学力向上推進総合プラン」が推進された。

 主な取り組みとしては、まず、学力向上推進校8校、進学指導推進校13校が指定された<資料1>。学力向上推進校には専門高校、進学指導推進校には普通科系の高校が指定されており、県全体としての学力の向上を目的としている。指定された高校では、延べ37回の公開授業や、教科研究会などを実施。公開授業は中学教員も参観できるようにするとともに、教科研究会も中学・高校合同で進めるなど、中高連携が進められている。
 「県立高校学力向上推進総合プラン」は2007 年度で完了し、2008年度からは「県立高校学力向上推進プロジェクト」がスタートしているが、この理念は継承され、継続指定を受けた進学指導推進校を中心として同様の活動が進行している。
また、進学指導推進校の教員を中心として、県内の指導力に優れた教員96名を「学力向上推進委員」に任命。委員たちには、地域の進路指導のリーダー的役割が期待されている。委員同士でテーマごとに6~7名のグループを編成し、授業方法の工夫や、難関大学の入試問題研究など、さまざまな教科研究が進行している。
 また、県教育委員会では2005年度から、夏休みに「夏トライ!グレード・アップ・ゼミ」を開催している。対象は県内の高校2年生で、鹿児島中央高校を会場として行われる。3日間の公開講座を受講(1日80分授業×3時限)するほか、鹿児島大学のオープンキャンパスにも参加している。「夏トライ!グレード・アップ・ゼミ」の公開講座を担当するのも、学力向上推進委員が中心となっている。指導力向上のために、公開講座を参観する若手教員も約100名にのぼっている。
生徒にとっても、他校の生徒と机を並べて学ぶことはいい刺激になっているようで、「いつもとは違う緊張感があり、貴重な経験になった」「他校生の勉強のやり方を見て、意識が高まった」といった感想が寄せられている。生徒同士が高校の枠を超えて、お互いを高め合うような関係を築くために、50分間の交流会も用意されている。高校2 年生の早い時期から、目的意識、学習意欲を高めることにつながっているようだ。このように、さまざまな成果が期待できることから、このゼミへの参加者は、年々大幅に増加している(2005年度201名→2008年度364名)。

「鹿児島県進学指導ステップアップ研究会」の設立  
こうした県全体の取り組みの一方で、高校教員による自主的な動きも出てきている。
「進学における鹿児島県の低迷の長期化を受けて、2006年度末の県内進路指導主任会で『鹿児島をどげんかせんといかん!』という気運が高まりました。教員同士が交流する機会が減り、指導方法のノウハウが伝授されなくなっているのが要因ではないかという意見が、この会で数多く出されました。元来、鹿児島県には、先輩から後輩へと伝承する『郷中教育』の文化が根づいていたはずなのに、いつの間にかそれが喪失しかけていたのです。その反省に立って、2007 年度に、教員有志による『鹿児島県進学指導ステップアップ研究会(鹿進研)』を設立。県全体の教育力を高めるための多様な活動を展開しています」(鹿児島県立甲南高校・藤崎恭一先生)

県内の難関大学志望者が一堂に会する「郷中 ゼミ」
鹿進研の活動で最も注目されるのが「郷中ゼミ」だ。3年次の夏休みに2日間、2年次の冬休みに1日間、公立高校の難関大学志望者が一堂に会して、授業を受講するスタイルだ。L1(文系。東京大学、京都大学、一橋大学志望者対象)、S1(理系。東京大学、京都大学、東京工業大学志望者対象)、L2(文系。旧帝大等志望者対象)、S2(理系。旧帝大等志望者対象)の4コースがある。2008年度の夏休みの郷中ゼミは、離島の高校の生徒も含めて、約20 校300名程度が参加している。
「授業では、難関大学のレベルにあわせた教材を用意し、かなり高度な内容になっています。他校の生徒たちが頑張っている姿に刺激を受けて、本校でも、さらに難関大学を目指す生徒が増えているという手応えを得ています」(鹿児島県立加治木高等学校・北浩憲先生)
また、郷中ゼミの授業には、数多くの教員が参観に訪れている。ほかにも、教員を対象に2種類の研修がある。中堅・若手研修会(キャリアアップ研修会)では、他県から講師を招聘し、講演会や分科会などの多彩なメニューで実施されている。進路主任研修会では、各学校の現状を中心に意見交換し、貴重な情報収集の場となっている。
「そうした場を通して、先輩教員が他校の教員にも積極的に声をかけてくださり、横の連携が強化されています。高校間の垣根を低くして、県全体として優れた指導方法を継承していこうという雰囲気が高まっています」(鹿児島市立鹿児島玉龍高校・坂本昌弥先生)

先輩が後輩を教育する独自の風土が根づく
 
鹿進研の活動以外でも、先輩が後輩を教育するのが当然という意識は、さまざまな形で見られる。
例えば、後ほど詳述するように、鶴丸高校では、高校の進路行事に卒業生が積極的に協力する姿勢を見せている。国公立大学の受験のために全国各地に出向く後輩の面倒を先輩社会人が見る伝統も堅持されている。
しかも、その風土は公立高校に限ってのことではない。私立高校でも同様だ。
「本校の体育祭では生徒の4分の1近くが応援団に所属します。そこで、先輩に応援団合戦の振り付けなどを指導される中で、自然と親密な縦の関係が築かれています。また、寮生活を通して、先輩が生活面の指導や、勉強のやり方など、本校ならではの流儀を教えるのも伝統になっています。そのため、愛校心の強い卒業生が多く、彼らは後輩の役に立ちたいという思いを持っていますから、東大見学会をはじめとする進路行事にも、積極的に協力してくれます」(ラ・サール高校・麻生善三先生)

そうした先輩、後輩の人間関係が醸成されていることが、鹿児島県の大きな強みといえるだろう。
以上、見てきた受験風土を踏まえて、鹿児島県の各高校では、どのような進路指導が実施されているのか、具体的に見てみることにしよう。

<資料1> 県立高校学力向上推進総合プラン(2005~2007)における推進指定校
学力向上推進校(8校) 鹿児島西、枕崎、吹上、隼人工業、串良商業、鹿屋農業、垂水、奄美
進学指導推進校(13校) 指宿、加世田、川辺、伊集院、川内、出水、大口、加治木、国分、志布志
鹿屋、種子島、大島

09.08.19:06

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その17) 

④樟南高校普通科文理コース
文理コースは、学年によって在学生数が変動するため、比較は難しいが、大まかな傾向をつかむことは可能と考える。

現高2年生の7月の進研模試の結果に基づき分析を行っているが、この学生が入学した平成20年度入試から文理コースで推薦入試が始まり、6人が推薦入学していること、入学年度の平成20年度は鶴丸高校の倍率が高かったこと、公立高校入試問題が易しく平均点が高かったことなどから、学力上位層が例年より多いと想定される。

文理コースの在学生数
入学年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成20年度 平成21年度
卒業年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 平成24年度
学生数 54 47 29 52→53 32
注)2年次英数コースからのコース替えがあるが1~2人程度、現高2は53人(英数コースより1人)

平成20年度、平成21年度の文理コース卒業生数は54人、47人で、現高2年生53人とほぼ同じ人数であった。

なお、平成20年度54人の卒業生のうち10人が浪人し、からくも現役合格率80%を確保し、連続記録を更新した。
この浪人10人は、以下の大学に合格しており、そのうち7人がS3大学層以上となっている。

S1大学  熊本大    1人(医学部・医学科)
S3大学  九州大    4人(経済学部1、工学部2、薬学部1)
       東京医歯大 1人(医学部・検査技術)
       宮崎大    1人(農学部獣医学科)・・・・・S3相当

A1大学  横浜国立大 1人(工学部)
       熊本大    1人(教育学部)

A3大学  山口大    1人(農学部)

S1大学の合格実績は、S1大学の学力層3~5人に対して、0~1人となっている。学年別の学力層の違いと想定される。

学力がS2大学層の6~9人に対して現役・浪人も含め0~1人と少ないが、S2層の大半がS3大学を受験しているものと想定される。

S3大学層の9~10人に対して、2~11人が合格しているが、その大半はS2層からの受験者で、S3層はA1層を受験しているものと想定される。その結果、現役合格率80%以上を確保しているものと想定される。

樟南高校普通科文理コース受験パターン

①学力S1大学層4人程度→例年は学力層1人程度で、東大・京大・医学部を受験し現役・浪人で合格

②学力S2大学層7人程度→1人程度が一橋大・東工大・大阪大を受験し現役・浪人で合格
                  その他の7人程度が九大等を受験し現役・浪人で合格

③学力S3大学層13人程度→ほとんどがA1大学以下を受験して現役で合格
                   


樟南高校普通科文理(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
  現役 浪人 現役 浪人 現役 浪人    
S1大学
東大1

 

 

 

 

 

 

熊本大(医・医)
3~5
S2大学
阪大1
6~9
S3大学
九大3
 


 


 


 


 

九大2
 
11

 

九大6
 

九大4
東京医歯大1
9~10
    0  2  12  6 6    20
S3大学のうち宮崎大(農学部獣医学科)はここでは除く。

09.07.18:05

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その16) 

③鹿児島中央高校
S1大学の合格実績は、S1大学の学力層1人に対して、平成19年度、平成20年度と0人だったが、平成21年度は3人(東大1人現役合格、医学部2人現役・浪人は不明)が合格した。
学力S1層は1人であるが、平成21年度S1大学を受験し現役合格となり、学力S2大学層で2人程度が受験したものと想定される。

学力がS2大学層の3~6人に対して現役・浪人も含め1~2人と少ないが、平成20年度まではS3大学の受験が多かったこと、平成21年度はS1大学の受験が多かったものと想定される。

S3大学層の11~16人に対して、3~7人が合格しており、S2層から受験者とS3層の5割程度がS3大学を受験しているものと想定される。その結果、ほとんどが現役合格者となっている。

鹿児島中央高校の受験パターン

①学力S1大学層1人程度→ほとんどの場合、S2以下の受験であったが、平成21年度東大・国公立大学医学部を受験し現役・浪人で合格

②学力S2大学層4人程度→平成21年度数人が東大・国公立大学医学部を受験し、現役・浪人で合格
                   1~2人程度が一橋大・東工大・大阪大を受験し現役・浪人で合格
                   1~2人程度が九大等を受験し現役・浪人で合格

③学力S3大学層13人程度→約5割にあたる7人程度が九大等のS3大学を受験し現役・浪人で合格
                   約5割は熊本大や鹿大を受験し現役で合格


鹿児島中央高校(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
  現役 浪人 現役 浪人 現役 浪人    
S1大学
 

 

 

 

 

 

 

東大1

 
S2大学 3~6
S3大学
 

 

 

 

九大3


 

九大6
11~16 13
        11       18

09.06.21:27

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その15) 

②甲南高校
S1大学の合格実績は、平成20年度から学力層に対して約2倍の合格実績となっている。
また、浪人の占める割合は、5~6割程度となっている。
この理由は、学力S1層のほとんどS1大学を受験して、現役又は浪人で合格していることと、学力S2層からも受験しているものと想定される。

学力がS2大学層の14~24人に対して現役・浪人も含め4人と約4分の1の合格者と少ないが、これはS1大学へ4分の1の5人程度とS3大学へ約半分の8人程度が受験したものと想定される。

S3大学層の31~36人に対して、27~34人程度合格しており、S2層の8人程度受験者とS3層の学生は8割程度がS3大学を受験しているものと想定される。その結果、浪人の占有率が小さくなっていると想定される。

甲南高校の受験パターン

①学力S1大学層5人程度→ほとんど全員が東大・京大・国公立大学医学部を受験し現役・浪人で合格

②学力S2大学層17人程度→5人程度が東大・京大・国公立大学医学部を受験し、現役・浪人で合格
                   4人程度が一橋大・東工大・大阪大を受験し現役・浪人で合格
                   8人程度が九大等を受験し現役・浪人で合格

③学力S3大学層33人程度→約8割にあたる25人程度が九大等のS3大学を受験し現役・浪人で合格
                   約2割は熊本大や鹿大を受験し現役で合格


甲南高校(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
  現役 浪人 現役 浪人 現役 浪人    
S1大学


 



 



 



 

東大2
京大1
 

東大2
京大3
 
11

 

東大1
京大1
医2

京大2
医3
 
4~7
S2大学 14~24 17
S3大学 27
 

 

 
34
 
28
九大26

九大6
30
 
27
九大19

九大3
31~36 33
37     37     48       55

09.05.23:06

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その14) 

進研模試(2009年7月 高2 記述式)の結果から各高校の学力分布を求め、S1大学からS3大学の合格実績に加えて、現役・浪人の区分をしてみました。

現役と浪人の数が把握できているのは、平成20年度、平成21年度のS1大学の東大、京大、S3大学の九大、鶴丸高校の平成20年度、平成21年度の国公立医学部合格者、甲南高校の平成21年度の国公立医学部合格者です。
現役合格者数は全合格者数から把握できている浪人生の合格者を差引いており、現役合格者が実際より多く計上されています。

①鶴丸高校
S1大学の合格実績は、学力層に対して約2倍の合格実績となっている。
また、浪人の占める割合は、5割~7割と非常に高い。
この理由は、学力S1層のほとんどS1大学を受験して、現役又は浪人で合格していることと、学力S2層からも多く受験しているものと想定される。
この学力がS2大学層がS1大学層に20~30人多くなっている要因のひとつに国公立大学医学部への受験者数が多いことも要因と想定される。

学力がS2大学層の35~50人に対して現役・浪人も含め17~22人と約半分の合格者と少ないが、これはS1大学とS2大学への受験者数がほぼ半々となっていると想定される。

S3大学層の53人に対して、50人程度合格しており、S3層の学生はほとんどS3大学を受験しているものと想定される。

鶴丸高校の受験パターン

①学力S1大学層20人程度→ほとんど全員が東大・京大・国公立大学医学部を受験し現役・浪人で合格

②学力S2大学層40人程度→20人程度が東大・京大・国公立大学医学部を受験し、現役・浪人で合格
                   残りの20人が一橋大・東工大・大阪大を受験し現役・浪人で合格

③学力S3大学層50人程度→ほとんど全員が東北大・名古屋大・九大・神戸大を受験し現役・浪人で合格


鶴丸高校(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
  現役 浪人 現役 浪人 現役 浪人    
S1大学 51 50 13
東大8
京大1
医4
37
東大14
京大5
医18
42 21
東大7
京大2
医12
21
東大7
京大2
医12
20~29 23
S2大学 17 21 22 35~50 43
S3大学 40   50 37
九大34
13
九大13
51 32
九大26
19
九大19
53~53 53
108     121     115       119

09.04.23:08

鹿児島市内の中高一貫教育校の指定校推薦

鹿児島市内の中高一貫教育校の指定校推薦について問い合わせがありましたので紹介します。
鹿児島市内の高校の指定校推薦は以下のとおりとなっています。

中高一貫教育校 指定校推薦
志学館高等部
慶応義塾大1、早稲田大3、中央大1、学習院大1、明治大1、同志社大1
立命館大4、明治学院大3、関西学院大1、東京理科大2、日本大2 他
(2009年)
 
池田学園池田高校
早稲田大、慶應義塾大、中央大、東京理科大、学習院大、津田塾大
立命館大、同志社大、関西大など
 
鹿児島修学館高校
63大学 明治大、法政大、東京薬大、立命館大、専修大、成城大
鹿児島国際大、福岡大 など
(2008年)
 
鹿児島純心女子高校   上智大、聖心女子大、白百合女子大、清泉女子大、関西大、関西学院大
  福岡大 、西南学院大、鹿児島国際大、上智短期大
  関西外国語大学短大部、、西南女学院短期大、筑紫女学園短期大 ほか

09.03.21:32

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その13) 

進研模試(2009年7月 高2 記述式)と大学合格実績から甲南高校、鹿児島中央高校について掲載します。

②甲南高校
S1大学は、得点分布からすると4人(理系合格ライン)~7人(文系合格ライン)(文系と理系の割合を1:2とすると5人)となるが、合格実績はこれを上回る6人~11人の結果となっている。

これは、S2学力層から多く受験しており、浪人して合格している場合など志望大学のレベルを下げることなく受験し、1人~6人合格していることがわかる。
また、近年、S1大学の合格実績が上昇しており、この傾向が強まっていると想定される。

S2大学までの累計は、得点分布では18人~31人(文系、理系の割合を1:2とした場合22人)となるが、合格実績累計は10人~15人となり、学力分布の数値を下回っている。

これは、学力がS3大学層からの志望者や合格実績が少ないこととなる。

S3大学は、得点分布からすると46~67人となっているが、大学合格の実績は37人~47人となっており、A1大学層からの志望者やS3層の浪人志望者が少ないと想定される。

③鹿児島中央高校
S1大学は、得点分布からすると1人(理系・文系合格ライン)となるが、合格実績は0人~3人の結果となっている。

本年度の合格者3人のうち、S2大学の学力ゾーンからの合格者が2人いることとなる。
また、過去2年間、S1大学の合格実績者が0だったの対し、今年3人に増加した。

S2大学までの累計は、得点分布では4人~7人(文系、理系の割合を1:2とした場合5人)となるが、合格実績累計は1人~4人となり、学力分布の数値を下回っている。

これは、学力がS2・S3大学層からの志望者や合格実績が少ないこととなる。

S3大学は、得点分布からすると14~22人(文系と理系の割合を1:2とすると17人)となっているが、大学合格の実績は4人~11人となっており、S3大学層からの志望者やA1層の現役・浪人志望者が少ないと想定される。

上記のように、甲南高校、鹿児島中央高校は、鶴丸高校より大学受験に対して安全志向が強いことがわかります。

仮に、S1~S3大学の学力層に応じた大学を受験した場合の合格実績は以下の表のとおりとなり、合格実績が上がるものと想定される。

④樟南高校普通科文理コース
文理コースは、学年毎に在学生数が増減するので、大学合格実績も変動するが、現在の高2の学力分布状況からすると、大幅に増加することとなる。


甲南高校(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
S1大学 11 4~7
S2大学 14~24 17
S3大学 27 34 30 31~36 33
37 47 45   55

鹿児島中央高校(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
S1大学
S2大学 3~6
S3大学 11~16 13
11   18

(参考) 鶴丸高校(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
S1大学 51 50 42 20~29 23
S2大学 17 21 22 35~50 43
S3大学 40 50 51 53~53 53
108 121 115   119

(参考)樟南高校普通科文理コース(現役・浪人含み・・・試算では浪人すれば合格率100%としている。)
区分 大学合格実績 学力層 合格推定
19年度 20年度 21年度
S1大学 3~5
S2大学 6~9
S3大学 11 9~10
12   20

09.02.23:29

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その12) 

進研模試(2009年7月 高2記述式)の高校別得点分布に高校別の大学合格実績累計を掲載してみました。

これにより、学力分布と大学合格実績の相関を見ることができます。
学力ゾーンはB評価で設定いますが、これは合格可能性60%以上80%未満に相当します。

ここでは、現在の高2の得点分布が今年の卒業生と同じとしています。

①鶴丸高校
S1大学は、得点分布からすると20人(理系合格ライン)~29人(文系合格ライン)(文系と理系の割合を1:2とすると23人)となるが、合格実績はこれを上回る42人~51人の結果となっている。

これは、S2学力層から多く受験しており、浪人にして合格している場合など志望大学のレベルを下げることなく受験し、19人~28人合格していることがわかる。

S2大学までの累計は、得点分布では55人~79人(文系、理系の割合を1:2とした場合60人)となるが、合格実績累計は64人~71人となり、若干上回っている。

これは、学力がS3大学層から4人~11人合格していることとなる。

S3大学は、得点分布からすると108~132人となっているが、大学合格の実績は108人~121人となっており、ほぼ一致しており、学力相当の者が合格していることとなる。

B評価は、合格率60%~80%であることから、平均合格率は70%ととなり、S3大学での合格者は76人~85人(108人~132人の70%)となるが、大学合格実績の108人~121人との差は、S3以上の学力層の浪人の合格者とA1学力層の現役・浪人の合格者ではないかと想定される。

甲南高校、鹿児島中央高校については、明日掲載します。

進研模試(2009年7月 高2 記述式)得点分布 試算 
得点 学力ゾーン
B評価 
校内順位     ゾーン 
B評価
大学合格実績累計   
上段:19年度
中段:20年度
下段:21年度
  文系 理系 樟南
普通科
文理
鶴丸 甲南 中央 樟南
普通科
文理
鶴丸  甲南  中央 
平均点     176.8 174.4 158.5 139.3          
標準
偏差
    28.8 30.3 28.0 28.0          
                       
263              
250              
245              
244              
241              
240              
235              
230     11          
225     15          
222     19          
221   S1 20          
220     21          
215 S1   29  S1

1 
 51
50
42
 6

11
 0

210     38 11          
205     50 15          
203   S2 55 18          
200     11 64 22          
195 S2   14 79 31 S2

68
71
64 
10
13
15 
 2

190     17 97 42 11          
187   S3 19 108 49 14          
185     20 116 55 16          
181 S3   23 132 67 22 S3

12
108
121
115 
 37
48
45
 9

11
180     24 136 71 23          
175     27 157 89 32          
174   A1 28 161 92 34          
170     31 178 109 44          
167 A1   33 190 121 51  A1   178
167
160
 66
93
118
 32
35
46
165     34 198 130 57          
160     37 218 153 73          
156   A2 40 232 171 88          
155     40 236 175 92          
150     43 252 198 112          
148 A2   44 258 206 121 A2     255
248
228
 196
202
222
 178
165
176
145     45 266 219 134          
140     47 278 238 156          
137   A3 48 284 248 170          
135     48 288 255 179          
131 A3   49 295 267 197 A3    268
258
243
215
229
261
 224
193
227
130     49 296 270 201          
125     50 303 282 222          
124   B1 50 304 284 226          
120     51 307 292 241          
117 B1   51 310 297 251  B1   268
259
244
217
235
266
 244
210
245
115     51 311 300 258          
110
未満
    52 314 306 272          

09.01.23:50

進研模試(平成21年7月 高2)結果(その11) 

進研模試(平成21年7月 高2)結果から高校別の得点分布を求めてみました。

試算方法
①得点分布は、正規分布とする。
②標準偏差は、高校別の平均点と200点時の校内順位で算定する。

鹿児島中央高校の標準偏差は、甲南高校と同じ値を使用しました。これは、鹿児島市内の公立高校は、合格ラインの序列化が進行しており、ある程度均質な学生が入学しているため、学力のバラツキが同等と想定しているためです。

高2 7月時点の標準偏差は、高校入学に比較して学力のバラツキガ進行しているものと想定され値が大きくなる傾向にあると考えています。

鶴丸高校は、上位校ですので、もともと成績上位層と下位層の差は大きいと想定しており、試算した標準偏差が大きくなっている結果からもその傾向があることがわかります。

得点上位層の校内順位は、鶴丸高校、甲南高校、鹿児島中央高校で差がありますが、得点が下がるにしたがってその差が縮まっていることがわかります。これが、最難関大学の合格実績には差があるものの、国公立大学の合格実績はあまり変わらないといった傾向を表しています。


進研模試(2009年7月 高2 記述式)得点分布 試算
得点 学力ゾーン 校内順位
文系 理系 樟南高校
普通科
文理コース
鶴丸高校 甲南高校 鹿児島中央高校
平均点     176.8 174.4 158.5 139.3
標準偏差     28.8 30.3 28.0 28.0
             
263    
250    
245    
244    
241    
240    
235    
230     11
225     15
222     19
221   S1 20
220     21
215 S1   29
210     38 11
205     50 15
203   S2 55 18
200     11 64 22
195 S2   14 79 31
190     17 97 42 11
187   S3 19 108 49 14
185     20 116 55 16
181 S3   23 132 67 22
180     24 136 71 23
175     27 157 89 32
174   A1 28 161 92 34
170     31 178 109 44
167 A1   33 190 121 51
165     34 198 130 57
160     37 218 153 73
156   A2 40 232 171 88
155     40 236 175 92
150     43 252 198 112
148 A2   44 258 206 121
145     45 266 219 134
140     47 278 238 156
137   A3 48 284 248 170
135     48 288 255 179
131 A3   49 295 267 197
130     49 296 270 201
125     50 303 282 222
124   B1 50 304 284 226
120     51 307 292 241
117 B1   51 310 297 251
115     51 311 300 258
110未満     52 314 306 272
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