11.23.21:44
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09.10.01:43
塾に関する報道
最近の動向について、読売新聞の記事を掲載します。
(7) 大手に対抗「全九州模試」
九州では、南北の有力塾が共同戦線を張る。
「黙想終わり。始めっ!」
鹿児島市の学習塾「昴(すばる)」の大教室で先月3日、制服姿の中学生が一斉に問題用紙に向かった。午前9時から午後1時過ぎまでに5教科の試験を受ける第2回「全九州模試」だ。
鹿児島、宮崎、熊本、福岡県に計73校を持つ昴と、福岡、長崎、佐賀、大分県と山口県に計53校を持つ「全教研」(福岡)は昨年11月に共同で、中学生向けの「全九州模試」と小学生向けの「全九州学力テスト」を初めて実施。計約1万4000人が参加した。ともに1970年代設立で上場企業の二つの塾が手を結んだことになる。
九州は、ラサール(鹿児島)や久留米大付設(福岡)など、私立の中高一貫校受験も盛んな地域。両塾が共催すると、九州最大規模のテストとなり、中学入試や高校入試で精度の高い合否判定ができるとの判断だ。
3年後には九州新幹線(博多―鹿児島中央)の全線開通もあり、九州内の転出入が盛んになるが、九州全域をカバーするテストは、大手塾・予備校の全国模試以外なかった。今後は「模試」を年5回、「テスト」を年3回実施予定で、計約2万人の参加を見込む。
この「模試」と「テスト」の共同実施の背景には、全国大手の九州進出がある。昨年は、出版社の学習研究社(東京)が北九州市の学習塾「照和学館」を子会社化。東海地方が地盤の学習塾「佐鳴予備校」を運営する「さなる」(東京)も、九州・山口で124校を展開する学習塾「九大進学ゼミ」を傘下に収めた。
さらに、大手学習塾「秀英予備校」(静岡)が今年中にも福岡に進出予定だ。一度に十数校開校し、講習会を無料にする戦略をとり、各地で地元塾と激しい生徒争奪戦を続けている。
昴と全教研は「全九州模試」「全九州学力テスト」で知名度を上げ、外部参加者を入塾につなげたい考えだ。昴の西村道子社長(66)は「塾は地域に根ざすことが大事で模試はその生命線。『全九州』を強力なものにしたい」と意欲的。高校部門ではこの春、大手予備校「河合塾」の映像教材を導入する。一方、3年前、兵庫県の上場塾「アップ」と提携して大学進学講座を開設した全教研も、中垣一明社長(56)が「福岡市では西南学院が2010年に小学校を作る。小学校受験、大学受験、ともにまだ市場がある」と自信を見せる。
だが、地元にも新たなライバルが出現している。86年設立で急成長の「英進館」(福岡)だ。宮崎県以外に33校を持つ。500人規模の大校舎で経営効率化を図りながら、スパルタ式の熱血指導で合格実績を伸ばし、生徒数を過去5年で約2万人と倍増させた。未上場だが、07年の売り上げは70億円と、昴(41億円)、全教研(45億円)を上回る。
「国際社会で生き抜くバイタリティーのある子を育てたい。学校にはできない教育で、九州の教育の底上げをしていく」と九州大学医学部卒というユニークな経歴を持つ2代目の筒井俊英社長(38)。
古参連合を追撃する内外の新勢力。西部戦線は波乱含みだ。(松本由佳、写真も)
九州地方のテスト結果と通塾率 昨年の「全国学力・学習状況調査」(国語と算数・数学)によると、小中学生の正答率は、福岡県が両教科とも、知識を問うA問題、活用を問うB問題の両方で全国平均を下回った。逆に熊本、宮崎両県ではほとんどで全国平均を上回っていた。公立中学3年生の通塾率は、福岡57%、長崎52%、佐賀51%、熊本50%、大分50%、鹿児島47%、宮崎40%の順で、いずれも全国平均(60%)を下回った。
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